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『中世思想研究』第45号和文要旨

第45号和文要旨 2003年(平成15年)9月15日発行、定価3,500円

第45号目次

論文

加藤 信朗,アウグスティヌス『神の国』における二つの国の理

片柳 榮一,アウグスティヌスの時間論の形而上学的背景についての一考察――『創世記逐語注解』の「諸時間の根」を中心にして

堀江 聡,『アリストテレスの神学』から古代末期の始原論への遡源

小川 量子,意志の対象への関係性と倫理的自由――ヘンリクスとスコトゥスとの主意主義の相違

研究論文

土井 健司,神の無限性と人間の主体性――「出逢い」としてのエペクタシス論

永嶋 哲也,一致の原理と区別のための諸状態――アバエラルドゥスのstatusと実在論者のstatus

 statusという用語は、中世初期の普遍論争において、唯名論者の代表的存在アバエラルドゥス(アベラルドゥス)が自らの普遍論を論じる際に用いたことで有名である。だが、立場を異にするはずの実在論者たちも、ある特定の学派は普遍を論じる際にこのstatusという用語を用いている。
 本稿では両者のテキストを比較検討して、両陣営がまさに論争していたことが両者の仮想反論などからわかること、実在論者はそのstatusという用語をアバエラルドゥスの議論を逆手に取る形で使うようになったこと、逆にアバエラルドゥスは誤解を招きやすいstatusという用語を後には使わなくなったことを示した。
 そして以上を示す議論の中から、アバエラルドゥスの言うstatusは、実在論者のstatusとは違って、個物に内在するような状態だとは理解すべきでなく、諸個物がそれにおいて一致するところの原理として解すべきだと指摘した。

江口 克彦,アルベルトゥス=マグヌスにおける哲学的観照の意義

松根 伸治,トマスにおける実践知の構造――思慮と行為の重層性

山口 隆介,トマス・アクィナスの信仰概念

シンポジウム

論題 古代末期からカロリング・ルネッサンスへ――知の断絶か連続か

野町 啓,(提題) Peregrinatio codicorum

清水 哲郎,(提題) 局地的断絶/長期的低落傾向からの回復

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